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漢方偉人伝 李東垣(りとうえん)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 李東垣(りとうえん)」を公開しました!
「脾胃こそ万病の源」──李東垣が築いた補土派の思想と現代への影響
母の死をきっかけに生まれた医学者の使命
中国・金の時代。
偉大な医学者 李東垣(り・とうえん) は、裕福な家庭に生まれながらも、母を病気で亡くしたことがきっかけで医道を志しました。
彼の母は、当時の名医たちにも診てもらえず、適切な治療を受けられぬまま命を落としたといわれています。
その深い悲しみと後悔が、李東垣の医学への情熱を生み出しました。

脾胃を重視した「補土派」の誕生
李東垣は、師である張元素の「臓腑弁証」をさらに発展させ、
**特に脾胃(ひい)**の働きに着目した独自の理論を構築しました。
彼の中心思想は、
「内に脾胃傷るれば、由りて百病生ず」
すなわち、「脾胃が損なわれれば、あらゆる病がそこから生まれる」という考え方です。
この理論に基づく彼の治療法は「補土派(ほどは)」と呼ばれ、後世に大きな影響を与えました。
陰火理論と現代的視点
李東垣は、脾胃の虚弱によって**「陰火(いんか)」が盛んになると病気が発生すると分析しました。
陰火とは、体内にこもる余分な熱やエネルギーの乱れのことで、現代風にいえばストレスや代謝異常のような状態**とも言えます。
陰火が生じる原因として、彼は以下を挙げています:
- 飲食の不摂生
- 過労
- 喜怒哀楽の感情の乱れ
これらが脾胃を傷つけることで、様々な病につながると説いたのです。
補中益気湯──今も使われる名処方
李東垣の理論は、具体的な処方薬にも結実しました。
その代表格が、現代でもよく使われている**「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」**です。
これは、疲れやすい・胃腸が弱い・食欲不振・息切れなどに用いられる処方で、
まさに「脾胃を補う」思想の集大成といえます。
日本でも評価される李東垣の教え
湿度が高く、胃腸を傷めやすい日本の気候において、
李東垣の脾胃重視の考え方は、今も高く評価されています。
胃腸が弱くて疲れやすい
→ 免疫力が落ちやすい
→ 様々な不調に…
この連鎖に気づかせてくれる彼の理論は、現代人にとっても大いに参考になります。
体質に合った漢方で、根本から整える
漢方薬は体質に合ってこそ、真の効果を発揮します。
李東垣が説いたように、**「脾胃を整えることが健康の鍵」**と考える方は、ぜひ一度ご相談ください。
西漢方薬店では、オンラインでの漢方相談を承っております。
おひとりおひとりの体質や症状に合わせて、最適な処方をご提案いたします。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


