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漢方偉人伝 釈継洪(しゃくけいこう)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 釈継洪(しゃくけいこう)」を公開しました!
嶺南の瘴瘧を救った孤児僧医──釈継洪と『嶺南衛生方』
中国・南宋時代、河南省の貧困家庭に生まれ、寺に預けられた孤児の少年が、後に嶺南地方を救う名医となります。
その名は釈継洪(しゃくけいこう)。
彼は25歳で禅師となり、仏教の教えと医術を統合する「五明」を習得。
修行僧でありながら、正式に単独での医療活動を許されるという異例の存在でした。

嶺南の瘴瘧に立ち向かった30年の雲遊
釈継洪は寺を出ると、険しい五嶺山脈を越えて南方へ。
広州や柳州など、嶺南地方を30年にわたって雲遊しながら、
当時猛威を振るっていた**瘴瘧(ちょうやく)**という感染症の治療に尽力しました。
瘴瘧とは、現代でいう重症マラリアに相当し、
当時は「山川の毒気」によって起こる神秘的かつ致死率の高い病とされていました。
医学書『嶺南衛生方』の誕生と革新性
釈継洪はこの病と向き合う中で、10年以上の経験と前人の理論を整理し、
ついに1264年頃、医学書『嶺南衛生方』を完成させます。
この書には以下のような特徴があります:
- 瘴瘧の発病原因、症状、治療法が体系的にまとめられている
- 90種類以上の処方が記録されている
- 地域特性に応じた「因地制宜」の思想が反映されている
さらに注目すべきは、「青蒿(せいこう)」の薬効を記していた点です。
青蒿は、現代でもマラリア治療の主薬であるアルテミシニンの原料として知られており、
釈継洪の見識の深さを証明するものとなっています。
『嶺南衛生方』が果たした医学史上の意義
『嶺南衛生方』は、明代に書かれた『瘟疫論』より300年以上も前に成立しており、
中国医学における最初期の感染症研究書として、今なお高く評価されています。
この書は瘴瘧という病の「神秘性」を取り除き、
実証的・地理適応型の医療体系を築くうえで大きな足跡を残しました。
釈継洪の医療活動は、まさに「知識と慈悲の融合」であり、
その遺産は、現代においても学ぶべき価値を持ち続けているのです。
体質と環境に合わせた医療を
釈継洪の思想に通じるように、現代の漢方治療もまた「体質と環境に応じた処方」を大切にしています。
西漢方薬店では、個々の症状や体質に応じたオンライン相談をおこなっております。
漢方薬は体質に合って、はじめて効果を発揮します。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、ぜひ専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


