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漢方偉人伝 羅天益(らてんえき)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 羅天益(らてんえき)」を公開しました!
羅天益──脾胃論を発展させた李杲の高弟、易水学派の継承者
日本の漢方医学にも多大な影響を与えた金元四大家。
その一人である李杲(りこう)の最晩年に、ひときわ光る才能を発揮した弟子がいました。
それが、**羅天益(ら・てんえき)**です。

学問から医学へ──羅天益の転機
1220年、河北省藁城県に生まれた羅天益は、もともと詩書を愛し、文人としての道を志していました。
しかし時代は戦乱の中、政治の道を断念し、やがて医学に転じます。
その才能が認められたのは、李杲が門弟を求めていた晩年のこと。
友人の推薦により、羅天益は李杲の脾胃論を継承する最後の高弟となったのです。
脾胃論の深化と臓腑弁証の革新
李杲の「脾胃中心論」を深く学んだ羅天益は、それを単に模倣するのではなく、
自身の臨床経験と観察眼によって、より精緻な診断と治療法を築き上げました。
特に彼が新たに確立したのは、
- 三焦(上焦・中焦・下焦)における寒熱の弁別
- それに基づく的確な証と治療法の選定
という、まったく新しい方法論です。
これは後の中医学における臓腑弁証理論の進化に大きく貢献しました。
臨床の実践と『衛生宝鑑』の完成
羅天益は、蒙古王族の軍医として従軍経験もあり、さまざまな病症を診てきました。
その豊富な経験を凝縮し、3年かけて著したのが、彼の代表作『衛生宝鑑』です。
全24巻から成るこの書は、
- 病理の詳細な解説
- 有効な漢方処方
- 豊富な臨床例(験案)
を組み合わせた、実用性と学術性を兼ね備えた総合医学書でした。
易水学派の承前啓後の存在として
羅天益の学問的功績は、単なる李杲の後継者という域を超え、
脾胃論を深化させた学派「易水学派」形成の重要な架け橋として高く評価されています。
現代の私たちへ──体調不良は「脾胃」から見直す視点
脾胃は「後天の本(生命維持の基盤)」とも言われ、
- 疲れやすい
- 食欲不振
- 消化不良
- めまい、貧血
などの慢性的な不調に密接に関係します。
西漢方薬店では、この脾胃の弱りに注目し、個々の体質に合わせた漢方相談を行っています。
「なんとなく体調が優れない」「食欲や気力が落ちている」という方も、
脾胃の状態を整えることで、大きく改善するケースが多くあります。
漢方薬は体質に合って、はじめて効果を発揮します。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、ぜひ漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


