お知らせ
漢方偉人伝 王寧宇(おうねいう)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 王寧宇(おうねいう)」を公開しました!
【江戸初期の名医】日本に腹診法を伝えた中国人医師・王寧宇
江戸時代初期、日本の医学史に大きな足跡を残した一人の中国人医師がいました。
その名は――王寧宇(おうねいう)。
明代の郡守の子として生まれた彼は、戦乱を逃れて1588年、日本へ渡来しました。

◆ 江戸の町医者から始まった新しい医のかたち
渡来後、王寧宇は江戸の町で「脈とろう、脈とろう」と声をかけながら医術の行商を始めました。
当時としては極めて珍しいスタイルでしたが、
彼の卓越した脈診技術と的確な治療が人々の間で評判となり、瞬く間に名医として知られるようになります。
幕府から**御殿医(幕府専属医)**への推挙も受けるほどでしたが、
残念ながら異国人であることを理由に正式な任官には至りませんでした。
◆ 日本に中医学を根付かせた第一人者
王寧宇の本当の功績は、医師としての治療だけではありません。
彼は日本の医師たちに**中医学(中国伝統医学)**の理論を体系的に伝えた最初期の人物でした。
特に、江戸の森家に医術を伝え、弟子の森雲竹を育てたことが
日本医学の発展に大きく寄与しました。
森雲竹は後に「日本腹診の祖」と呼ばれる存在となり、
この流れが江戸医学、そして現代漢方医学へとつながっていきます。
◆ 腹診法の確立という偉業
王寧宇が日本に残した最大の遺産は、腹診法の確立です。
腹診とは、腹部に触れることで五臓六腑の状態を判断する診断法であり、
患者の体質や病の根を探る中医学の核心技術です。
王寧宇はこれを日本に伝え、臨床での重要性を示しました。
その知識は著書『五雲子腹候』や『五雲子腹診法』にまとめられ、
現在でも京都大学や九州大学に貴重な資料として保管されています。
◆ 彼の教えが今に生きる
王寧宇の医学思想と技術は、
弟子たちを通じて江戸医学へ、そして現代の漢方臨床へと受け継がれています。
異国の地で医療の橋を架けた彼の功績は、
まさに日本に中医学の種をまいた先駆者といえるでしょう。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか、漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


