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漢方偉人伝 孫文胤(そんぶんいん)
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明末の医師・孫文胤 ― 脾胃を五臓の根本とした革新的理論
新安の名医、仏教思想と医学の融合
明朝末期の医師・孫文胤(そん ぶんいん)は、脾胃を五臓の根本とする独自の理論を打ち立て、中医学に大きな影響を与えた人物です。
安徽省新安県の出身で、九華山にて天台大師から医術を学び、仏教思想を医学に融合させた独特な体系を築き上げました。

「脾胃一傷、則五臓皆無生気」― 理論の核心
孫文胤の核心思想は、「脾胃一傷、則五臓皆無生気(脾胃が一度損なわれれば、五臓すべてが生命力を失う)」という考えに集約されます。
これは、脾胃が後天の生命維持の要であり、全身の気血や臓腑機能の源であるという画期的な見解でした。
三つの重要な観点
彼の理論は、次の三つの柱によって構成されています。
1. 気血生化説
脾胃は「後天の本」として、水穀(食物)の精微を運化し、気血を生み出すと考えました。
この働きが全身の生命活動を支える根幹となります。
2. 升降枢紐論
脾胃は中焦に位置し、気の昇降運動を主導します。
また、肝と肺の気機を調整することで、全身の臓腑が正常に機能するよう統率しているとしました。
3. 五臓関連観
脾胃は単独ではなく、他の四臓(肝・心・肺・腎)と密接に関係し、動的な平衡システムを構成していると考えました。
新安医学派の形成とその影響
孫文胤は新安医学派の代表的存在として、程朱理学の思想を背景に、理論と実証の融合を進めました。
彼の主著『丹台玉案』では、脾胃と五臓の関係を体系的に論述し、
さらに『傷寒捷径書』では仏教哲学の要素を取り入れた独自の治療法を展開しました。
その学説は、現代中医学における脾胃理論の基盤として、今なお重要な位置を占めています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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