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漢方偉人伝 朱巽(しゅせん)

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 朱巽(しゅせん)」を公開しました!

明代の医師・朱巽 ― 痘瘡治療を体系化した医学の先駆者

恐れられた伝染病・痘瘡と朱巽の挑戦

中国明代の医師・朱巽(しゅせん)は、当時最も恐れられた伝染病である痘瘡(天然痘)の治療法を確立した偉大な医学者です。
痘瘡は感染力が極めて強く、発熱や全身の発疹を伴い、重症化すると命を落とすこともある恐ろしい病でした。
江戸時代の日本でも多くの人々がこの病気に苦しみ、その脅威は社会全体を覆っていました。

朱巽は長年の臨床経験を積み重ね、患者の経過を緻密に観察する中で、痘瘡に関する治療法を一つの学問体系としてまとめ上げました。
その成果が、後世に伝わる名著『痘科鍵(とうかけん)』です。

『痘科鍵』の誕生とその革新性

『痘科鍵』は、痘瘡の症状・診断・治療法を詳細に解説した専門書であり、当時としては極めて実践的な内容でした。
それまでの医学書が断片的な知見を寄せ集めたものであったのに対し、朱巽は痘瘡という一つの疾患を体系的に理解し、治療の原則を示したのです。

彼は、病の進行段階ごとに治療方針を変え、体質や発熱・発疹の状態に応じて細やかに処方を使い分けました。
このような「臨床に根ざした医学的アプローチ」は、当時として非常に先進的で、後世の感染症医学にも通じる考え方でした。

日本への伝来と広がった影響

朱巽の『痘科鍵』は中国国内にとどまらず、日本にも伝来しました。
安永6年(1777年)には、京都の柏原屋清左衛門によって復刻出版され、多くの日本の医師たちに読まれることになります。
江戸時代の日本でも痘瘡は深刻な社会問題であり、朱巽の治療法は多くの患者に希望をもたらしました。

特に当時の日本医学界では、天然痘の治療や予防が最重要課題の一つとされており、朱巽の理論と実践は医師たちの臨床現場で大きな助けとなりました。

命を救い続けた「医の精神」

朱巽の功績は単なる治療技術にとどまりません。
彼の根底には「命を救うために学問を磨く」という強い信念がありました。
その姿勢は国境を越えて受け継がれ、彼の医学書は今なお東洋医学史における金字塔として位置づけられています。

朱巽の生涯と業績は、現代に生きる私たちに「医とは何か」という原点を静かに問いかけています。


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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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