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漢方偉人伝 張志聡(ちょうしそう)
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張志聡 ― 『黄帝内経』の理解に革命を起こした清代の巨匠
江戸の「解体新書」と同時代、中国で起きていた古典医学の革新
日本で杉田玄白が『解体新書』を刊行していた江戸時代、
中国でも医学界を揺るがす大きな改革が進んでいました。
その中心人物こそ、清代の名医 張志聡(ちょう しそう、1644–1701頃) です。
彼は古典医学の難解さを解きほぐし、後世の医師たちが正しく学べるよう体系化した、
まさに“古典医学の翻訳者”ともいえる存在でした。

『黄帝内経』を読み解き、中医学の基礎理解を変えた
『黄帝内経』は2000年以上前に成立し、中医学の基本理論を築いた超古典。
しかし文章は抽象的かつ難解で、多くの医師が読み解けず苦しんでいました。
張志聡はこの問題を根本から解決すべく、
- 『黄帝内経素問集注』
- 『黄帝内経霊枢集注』
という二大注釈書を著しました。
これらの著作は
- 古代漢文の難解表現を丁寧に解説
- 多くの文献を照合し、誤読しやすい箇所を整理
- 臨床につながるよう理論と実用に橋をかける
といった工夫に満ちており、清代以降の医師たちにとって“内経を学ぶための必読書”となりました。
まさに、古典医学の解読に革命をもたらしたのです。
独創的な思想を示す『侶山堂類弁』
張志聡は古典注釈だけでなく、独創的な医学思想も展開しました。
その代表作が 『侶山堂類弁』 です。
この書の中心概念である 「取象類比」 とは、
異なる物事の間にある“似ている本質”を見つけ、病態を理解する中医学独自の思考法です。
たとえば、
- 季節の変化 → 体の変化
- 山や川の動き → 気血水の巡り
といった類比を通して、自然と人体の関係を読み解く方法が示されており、
後世の医学者たちに深い影響を与えました。
『傷寒論』への注釈と鍼灸理論の発展
張志聡は高世栻らとともに、医聖・張仲景の名著『傷寒論』の注釈にも参加しました。
条文の意味を細かく分析し、臨床で使える形に再整理したことで、清代以降の古方研究の発展を支えました。
また「五臓」と「五体(筋・脈・肉・皮・骨)」の関係から導いた 五刺法の研究 は、
鍼灸治療の理論構築に大きく貢献しています。
これは現代の鍼灸理論にもつながる重要な発見でした。
張志聡の仕事がもたらしたもの
張志聡の学問の中心には一貫して
「古典を深く読み、臨床に活かす」
という姿勢がありました。
彼の丁寧な注釈と体系化によって、清代の医師たちは古典医学をより理解し、
より精度の高い治療を行うことが可能になりました。
そしてその知識は海を越え、日本の漢方医にも影響を与えたのです。
古典を現代につなぐ架け橋を築いた張志聡。
彼の功績は、今も東洋医学の深みに光を当て続けています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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