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漢方偉人伝 周揚俊(しゅうようしゅん)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 周揚俊(しゅうようしゅん)」を公開しました!
周揚俊 ― 科挙に挫折しながらも医学で大成した清代の名医
科挙から医学へ ― 40歳近くでの大転身
清朝時代の医学者 周揚俊(しゅう ようしゅん) は、人生の前半を「科挙試験の失敗」に費やした人物でした。
字は 禹載、蘇州府の出身。
幼い頃から儒学を学び、官僚を目指して努力を続けましたが、40歳近くになっても科挙に合格できませんでした。
しかし、彼はここで挫折しませんでした。
儒学を捨て、思い切って 医学の世界へ転身。
この決断が、後に清代医学史に残る大成功へとつながります。

張仲景の研究に十余年を費やす
医学を志した周揚俊は、古代医聖・張仲景の著書
- 『傷寒論』
- 『金匱要略』
を徹底的に研究し続けました。
その期間はなんと 十年以上。
彼の真摯な取り組みが、後の名著につながっていきます。
1671年、京師(北京)で名医として名声を確立
康熙十年(1671年)、周揚俊は京師へ向かい、
その臨床能力の高さと深い古典理解力によって、瞬く間に名医としての名声を確立しました。
『温熱暑疫全書』 ― 温熱病を体系化した代表作
1679年に完成した 『温熱暑疫全書』四巻 は、周揚俊の代表作です。
順序立てて
- 温病
- 熱病
- 暑病
- 疫病
を論じ、それぞれの病態の違いを明確に分類しました。
さらに、
- 張仲景『傷寒論』
- 呉有性『温疫論』
の原文を精選し、詳細な注釈を加えることで、温熱病理論を総合的に整理した画期的な書となりました。
『傷寒論三注』十六巻(1677年)
彼はまた、
- 『傷寒論条弁』
- 『尚論篇』
に自身の見解を加え、『傷寒論三注』十六巻 を完成。
傷寒論の解釈においても重要な文献となり、多くの医家が参考とする名著となりました。
『金匱玉函経二注』22巻(1687年)
1687年には、
『金匱方論衍義』を元に補注を加えた 『金匱玉函経二注』二十二巻 を著しました。
これにより、金匱学の理解を大きく前進させています。
血証治療の名手
周揚俊は特に「血証(出血を伴う病)」の治療で名声を得ていました。
彼は『十薬神書』を非常に高く評価し、
康熙二十六年にはこれに注釈を加え出版。
血証に対する独自の治療体系を確立したことでも知られています。
挫折から生まれた偉大な医家
40年近く科挙に落ち続けた人生から、
異分野の医学で大きな成功を収めた周揚俊。
彼の人生は、
「挫折が終わりではなく、新しい道の始まりになる」
ということを教えてくれる存在でもあります。
そして、彼が残した著作の数々は、
今日まで中国医学の貴重な財産として大切に受け継がれています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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