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漢方偉人伝 張錫駒(ちょうしゃくく)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 張錫駒(ちょうしゃくく)」を公開しました!
張錫駒──「銭塘の二張」と称された清代の名医
『傷寒論直解』で古典医学を現代臨床へつなげた人物
はじめに
中国清代の医学史には、「銭塘の二張」と呼ばれる二人の名医がいます。
その一人が、傷寒論研究で高く評価された 張錫駒(ちょう しゃくく) です。
浙江省銭塘(現在の杭州市)出身で、康熙年間(1662〜1722年頃)に活躍しました。

張錫駒の学びと成長
張錫駒は、郷里の名医 張遂辰 に師事して医学を学び始めました。
兄弟弟子には、後に大医学者となる 張志聡 がいました。
この二人はともに『傷寒論』研究で卓越した成果を残し、
後世から 「銭塘の二張」 と称されるようになります。

最大の業績:『傷寒論直解』
張錫駒の最も有名な著作が、
1712年出版の『傷寒論直解』(全6巻)です。
『傷寒論直解』の特徴
- 『内経』の理論を用いて張仲景の学説を解説
- 複雑な古典医学を臨床で使える形に再構築
- 実際の治療経験を随所に反映
- 当時の医師が到達できなかった治療レベルを可能にした指針書
単なる注釈ではなく、
「病をどう治すか」を具体的に示す臨床書 として優れていました。
この実践性こそが、彼の学説を広く普及させた理由と言えます。

「胃気」を重視した思想
張錫駒は医論『胃気論』も著しており、ここでは
胃気(消化力・生命力)こそ治療の原点である
と強調しています。
胃気が弱ると
- 体力低下
- 回復力の低下
- 薬の効きが悪くなる
と考え、治療では必ず「胃気を守る」ことを重視しました。
この視点は日本の江戸時代医学にも大きな影響を与え、
吉益東洞らの古方派医学に取り入れられ、現在でも重要な概念として残っています。

まとめ
張錫駒は、
- 『傷寒論直解』で古典医学と臨床実践をつなぎ
- 『胃気論』で治療哲学を示し
- 傷寒学の発展に大きく貢献した
清代を代表する名医です。
「銭塘の二張」と称えられた彼の学問は、
中国だけでなく日本の漢方医学にも影響を与え、
現代にまで受け継がれています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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