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漢方偉人伝 葉天士(ようてんし)
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清朝の名医・葉天士
温病学を確立し「天医星」と称された天才医師の生涯と功績
はじめに
中国医学史において、温病学の礎を築いた人物として必ず名前が挙がるのが 葉天士(よう・てんし) です。
彼は卓越した診断技術と理論体系によって、後世の中医学に決定的な影響を残しました。
本記事では、葉天士の生涯と、その医学思想の核心に迫ります。

幼少期と医学の道への志
葉天士は清朝時代の江蘇省で医学世家に生まれました。
幼い頃から並外れた才能を発揮していましたが、14歳で父を失い、生活のために医業に携わらざるを得ませんでした。
しかし困難な環境にもかかわらず、17人の医師に師事し医学を極めていったといわれています。
その天才的な診断力から、人々は彼を「天医星」と称するようになりました。

葉天士の最大の功績:温病学体系の創立
当時の江南地域は人口密度の増加と温暖湿潤な気候により、温熱病(急性熱性疾患)が頻発していました。
これに対し葉天士は、従来の 傷寒論の六経弁証とは異なる新しい診断体系 を打ち立てます。
● 衛気営血弁証の確立
温病の進行を
- 衛分(初期)
- 気分(中期)
- 営分(重度)
- 血分(危険段階)
の四段階に分け、
それぞれに応じた治療法を確立したのが葉天士の最大の功績です。
● 治療原則
葉天士は明確な治療方針を示しました。
- 衛分:発汗して邪を追い出す
- 気分:肺胃の熱を清する(清気)
- 営・血分:血分の熱を冷ます(涼血)
この体系は非常に実践的で、現代中医学でも温病治療の基礎として使われています。
独創的な診断法
葉天士は診断法にも革新をもたらしました。
- 舌の色や苔の変化の精密な分析
- 歯の状態や斑疹の観察
- 温邪の進行段階を細かく判断する独自の視点
彼の診察は非常に緻密で、臨床家としての評価は圧倒的なものでした。

晩年の講義と『温熱論』
晩年、葉天士は太湖で多くの弟子へ講義を行い、その内容は弟子たちにより 『温熱論』 としてまとめられました。
この書は現在も温病学の根本文献とされています。

中医学史における葉天士の位置づけ
葉天士の理論は、張仲景の『傷寒論』と並び立つ学派として近代温病学の中心を形成しました。
現代中医学においても、
- 感染症
- 発熱性疾患
- 免疫系の異常
などの治療に重要な理論的価値を持ち続けています。
彼の業績は、中医学における大きな転換点の一つといえるでしょう。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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