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漢方偉人伝 薛雪(せつせつ)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 薛雪(せつせつ)」を公開しました!
清朝の名医・薛雪
湿熱病治療で名を馳せた多才な医学者の生涯

はじめに
中国清朝時代、温病学の発展に大きく貢献した医師・薛雪(せつ せつ)。
彼は医学のみならず、詩文や書法にも卓越した才能を発揮した“文武両道”の名医でした。
本記事では、薛雪の生涯と独創的な医学理論、そして伝説的な治療法について詳しくご紹介します。
書香世家に生まれた才人
薛雪は1681年、江蘇省蘇州の書香世家に生まれました。
幼少期は著名な詩人・叶燮に師事し、文学の才能を磨きます。
しかし、母親が病に倒れたことをきっかけに進路を大きく転換し、医学の道へ進むことを決意しました。
名医たちに学び、湿熱病の名医として頭角を現す
薛雪は当時の名医である王子接、周揚俊から医学を学びました。
特に湿熱病治療における鋭い洞察と臨床能力により、次第にその名を広めていきます。
彼の代表作『湿熱条辨』は、湿熱病の原因・症状・治療法を体系化した温病学の重要文献です。
常識を超えた独創的な治療法
薛雪の臨床は非常に独創的で、常識にとらわれない診断と治療で知られています。
● 蘇生した“死亡扱い”の厨師
疫病で死んだとされた料理人を、薛雪は脈と症状から「まだ救える」と判断。
適切な薬を投与し、見事に蘇生させたと伝えられています。
● 冷痧と診断した患者を刮痧で即時治癒
他の医師が治せなかった痧症(中暑の一種)を、薛雪は「冷痧」と診断し、
刮痧療法を使ってその場で症状を消失させました。
● 日毎に薬の分量を変える「三妙湯」
棗・葱根・生姜の分量を日毎に減らすという特殊な処方設計。
この柔軟な治療法は多くの難病を改善しました。
● 慢性痢疾の原因を“脾胃ではなく腎”と見抜く
当時、多くの医師が脾胃の問題と考えていた慢性の下痢。
薛雪は腎に原因があると判断し、補腎薬で完治させました。
診断眼の鋭さと治療法の柔軟さが、彼を名医として歴史に刻んでいます。
文学者・袁枚との忘年の交
薛雪は文学者・袁枚と深い友情で結ばれていました。
年齢差35歳を超えた親交は有名で、「忘年の交」として語り継がれています。
号「一瓢(いっぴょう)」には2つの説があります。
- 顔回の清廉な生き方を理想とした説
- 杯を手放さない酒豪の僧との逸話に由来する説
医術だけでなく文学・人格にも優れた人物であったことが分かります。

まとめ
薛雪は、湿熱病学の体系化に大きく貢献した清朝随一の名医です。
その臨床は独創性と柔軟性に満ち、常識を覆す治療で多くの患者を救いました。
医師であり詩人であり思想家でもあるその生涯は、現在の中医学にも深い影響を与えています。
西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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