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漢方偉人伝 徐大椿(じょたいちん)

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 徐大椿(じょたいちん)」を公開しました!

清朝の名医・徐大椿

人生の悲劇から医学へ転じた「神業の診断力」を持つ医師

幼少期から際立っていた非凡な才能

清朝時代の医師・徐大椿は、幼少期から異才を放った人物でした。
7歳で私塾に入り、14歳で八股文を学び、若くして学問の基礎を完成させています。

易経や道徳経の研究でも頭角を現し、18歳の時には父の勧めで水利事業に参加しました。
実地調査を重ね、その成果をまとめた『江南水利書』を編纂するなど、
すでに学者としての非凡な能力を示していました。

20歳で秀才となり、同時に武術にも精通。
文武両道を兼ね備えた、当時でも稀有な存在だったといえます。


三人の弟の死がもたらした人生の転機

順風満帆に見えた徐大椿の人生は、30歳の時に大きく転換します。
三人の弟が相次いで病死し、父もその悲しみから病に倒れてしまったのです。

この出来事の背景には、当時横行していた藪医者による誤診がありました。
徐大椿はその現実に強い憤りを覚え、
「正しい医学を学ばなければならない」と決意します。

こうして彼は、それまで歩んできた学者の道から、
医学の世界へと大きく舵を切りました。


独学による徹底した医学研究

徐大椿は、家にあった数十種の医書を徹底的に読み込みました。
古典医学から当時の最新文献まで、昼夜を問わず研究を重ねます。

独学でありながら理論と実践の両面を磨き、
次第に臨床経験を積み重ねていきました。

その成果として、十数部にも及ぶ貴重な医学著作を完成させ、
学問としても臨床としても高く評価される存在となっていきます。


神業と称された診断力

徐大椿の最大の特徴は、驚異的な診断能力でした。
患者の状態を一目見ただけで本質を見抜くその力に、
周囲の医師たちは驚嘆したと伝えられています。

ある夏の日、
大量の汗をかき続ける患者がいました。
他の医師たちは「暑邪による熱証」と判断し、
身体を冷やす薬を処方していました。

しかし徐大椿は、
これは表面上の症状に惑わされてはならないと考え、
逆に身体を温める「参附湯」が必要だと判断します。


命を賭した治療と完全回復

この判断は、当時としては極めて大胆なものでした。
徐大椿自身も「もし誤れば命に関わる」と覚悟した上で、
治療を引き受けたといわれています。

結果は見事に的中しました。
一服で症状は改善し、
十日後には完全に回復したのです。

この一件をきっかけに、
徐大椿は「医界随一の名医」としての名声を確立していきました。


徐大椿が残したもの

徐大椿の人生は、
学問・実務・悲劇・医学という多彩な経験に支えられています。

机上の理論だけではなく、
人の生死に真正面から向き合った経験が、
彼の鋭い診断力と的確な治療を生み出したといえるでしょう。

その姿勢は、現代の漢方医学においても、
「症状の裏にある本質を見抜くこと」の重要性を教えてくれます。


西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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