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漢方偉人伝 沈又彭(しんゆうほう)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 沈又彭(しんゆうほう)」を公開しました!
沈又彭と『女科輯要』
18世紀中国で女性医学に革新をもたらした名医

女性医学に革命を起こした医師・沈又彭
18世紀の中国、清代乾隆期。
女性医学(当時は「女科」と呼ばれていました)の分野で、
ひときわ大きな存在感を放った医師がいます。
その人物が 沈又彭(しん・ゆうほう) です。
江蘇省呉江の出身で、
字を 則及、号を 補斎 と名乗りました。
彼は産婦人科分野において卓越した臨床経験と学識を持ち、
当時から名医として広く知られていました。
理論と実用を重んじた医学姿勢
沈又彭の医学的アプローチには、はっきりとした特徴があります。
それは、
- 中医学の根本理論を軽視しない
- しかし理論だけに偏らない
- 実際の臨床で役立つことを最優先する
という姿勢でした。
難解な理論をそのまま振りかざすのではなく、
「現場でどう使うか」を常に意識した医学だったのです。

代表作『女科輯要』の革新性
沈又彭の代表作が 『女科輯要』 です。
この書物は、
古今の産婦人科に関する重要な論説・処方を広く集め、
- 内容を整理し
- 要点を明確にし
- そこに自身の見解を加える
という構成でまとめられています。
扱われている内容は、
- 経水(生理)
- 月事不調
- 帯下
- 妊娠
- 出産
- 産後の諸病
など、
女性の生理と病理を体系的に網羅しています。
まさに、当時の女科医学を一冊に凝縮した画期的な医学書でした。

『医経読』に見る教育的才能
沈又彭は臨床家であると同時に、
教育者としての才能にも優れていました。
その代表が 『医経読』 です。
この書物では、
- 『黄帝内経』などの医学古典から要点を抽出
- 内容を
- 平(平常)
- 病
- 診
- 治
の4つの視点で整理し、
非常に理解しやすい形で解説しています。
医学を学び始める人にとっても、
基礎をつかみやすい入門書として高く評価されました。

複雑な理論を「わかりやすく」伝える力
沈又彭の最大の才能は、
複雑な医学理論を簡明に伝える能力にありました。
特に女性特有の生理や病理は、
- 症状が多彩
- 経過が変化しやすい
という難しさがあります。
彼はそれらを整理し、
誰にでも理解できる形で説明することに長けていました。
この点が、
沈又彭の医学が広く受け入れられ、
後世まで影響を残した大きな理由といえるでしょう。
現代中医学への影響
現在でも 『女科輯要』 は、
- 中医学の臨床教育
- 婦人科領域の古典研究
において重要な位置を占めています。
沈又彭の治療思想や整理方法は、
現代の中医婦人科学の基礎の一部として
今なお生き続けています。

まとめ
- 女性医学(女科)を体系的に整理
- 理論と臨床を高い次元で融合
- 難解な医学をわかりやすく伝えた名医
沈又彭は、
女性医学を「専門家だけの学問」から「臨床で活かせる医学」へ導いた人物といえるでしょう。
彼の残した知見は、
時代を超えて、現在の漢方・中医学にも確かな影響を与え続けています。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。


