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漢方偉人伝 余霖(よりん)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 余霖(よりん)」を公開しました!
余霖と石膏大量療法
清代医学界に革命をもたらした大胆な治療法

疫疹が猛威を振るった18世紀中国
18世紀後半の中国では、人口増加と都市化の進行に伴い、
疫疹 と呼ばれる発疹を伴う伝染病が各地で流行していました。
高熱と重い全身症状を伴い、
当時の医師たちは従来の治療法では十分な効果を得られず、
多くの患者が命を落としていたと記録されています。
そのような時代背景の中、
医学界に大きな衝撃を与える治療法を打ち出した人物がいました。
それが、清代の医学者・余霖(よ・りん) です。
疫疹を「胃に侵入した熱毒」と捉えた発想
余霖の革新性は、
疫疹という病気の 病因の捉え方 にありました。
彼は疫疹を、
- 体表の病気
- 発疹そのものが本体
と考えるのではなく、
「強烈な熱の毒が胃に侵入した病態」
と分析したのです。
この視点の転換が、
まったく新しい治療戦略へとつながっていきました。
石膏に注目した理由
余霖が治療の中心に据えた生薬が 石膏(せっこう) です。
石膏は古くから、
- 強い清熱作用
- 高熱を鎮める作用
を持つ生薬として知られていました。
しかし当時の医学界では、
石膏は 少量使用が常識 であり、
大量投与は危険と考えられていました。
常識を覆した「石膏大量療法」
余霖の真の革新は、
石膏の使用量 にありました。
彼は従来の常識を完全に覆し、
- 数両
- 多い場合は十数両
という、当時としては驚異的な量の石膏を使用しました。
現代の重量に換算すると、
最大で約240グラム にも相当します。
この大胆な「石膏大量療法」により、
高熱に苦しみ死の淵にあった多くの患者が回復したのです。
清瘟敗毒飲の誕生
余霖の石膏大量療法を代表する処方が、
清瘟敗毒飲 です。
この処方は、
- 石膏を主薬とし
- 地黄
- 犀角
- 黄連
などを組み合わせ、
体内にこもった激しい熱毒を一気に冷ます構成となっています。
清瘟敗毒飲は、
その後の温病治療における重要な基礎処方となり、
現代中医学においても高熱性疾患の治療で用いられています。
後世への影響
余霖の石膏大量療法は、
- 温病学の発展
- 感染症治療の理論構築
に大きな影響を与えました。
彼の発想は、
後の温病学者たちによって継承・発展され、
中国医学の治療体系を大きく前進させる礎となったのです。
まとめ
- 疫疹を「胃に侵入した強い熱毒」と捉えた独創的な視点
- 常識を覆す石膏の大量投与
- 多くの命を救った清瘟敗毒飲の確立
余霖の功績は、
理論と勇気をもって医学の限界を押し広げた実践の結晶 といえるでしょう。
その精神と治療思想は、
現代の中医学にも確かに受け継がれています。

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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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