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漢方偉人伝 楊栗山(ようりつざん)

「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 楊栗山(ようりつざん)」を公開しました!

現代でも使われる漢方薬「升降散」を生み出した名医・楊栗山

現代の中医学・漢方治療でも用いられている処方「升降散」。
この重要な漢方薬を生み出した人物が、清代の医学者・楊栗山です。

彼は18世紀、中国医学が大きく転換する時代に活躍し、
感染症や熱性疾患を中心とした「温病学」の発展に大きく貢献しました。

本記事では、楊栗山の人物像と医学的功績、
そして現代にも受け継がれる升降散の意義について解説します。


清代温病学を発展させた医学者・楊栗山とは

楊栗山は1733年から1806年にかけて活躍した清代の著名な医学者です。
江蘇省淮安の出身で、諱は璇、字を栗山と称しました。

彼は明代の医家・呉有性が著した『温疫論』の学説を継承しつつ、
自身の豊富な臨床経験をもとに、温病治療をより体系化していきました。

特に、感染症や流行病などの熱性疾患を
従来の「傷寒」とは異なる病態として捉え直した点が大きな特徴です。


熱性疾患の本質を「雑気の鬱滞」と捉えた独自理論

楊栗山は、熱性疾患の原因を
「雑気(ざっき)」と呼ばれる邪気が体内に鬱滞することと考えました。

単なる外感の風邪ではなく、
体内で気の流れが乱れ、上と下のバランスが崩れることで
熱がこもり、症状が重くなると捉えたのです。

そのため治療では、

  • 体内に停滞した邪気を動かすこと
  • 気の流れを上下に整えること

を重視しました。


『傷寒温疫条辨』が残した医学史的意義

楊栗山の代表作が『傷寒温疫条辨』です。
この書物では、

  • 従来の風邪による熱病である「傷寒」
  • 伝染性が強く、性質の異なる「温病」

を明確に区別しました。

この整理によって、
病態に応じた診断・治療を行う道筋がはっきり示されたのです。

さらにこの考え方は、
後に呉鞠通が完成させる「三焦弁証」の形成にも
大きな影響を与えました。


現代にも受け継がれる処方「升降散」

楊栗山が考案した処方の中で、
現在でも特に重要視されているのが「升降散」です。

升降散の構成生薬

  • 白僵蚕
  • 蝉退
  • 薑黄
  • 大黄

わずか4味というシンプルな構成ながら、
気の巡りを上下に整え、
体内にこもった熱や鬱滞を解消する力を持ちます。

現代での応用

升降散は現在でも、

  • インフルエンザ
  • ウイルス性疾患
  • 炎症性疾患
  • 熱がこもるタイプの不調

などで応用されており、
清熱解毒の基本方剤の一つとして重宝されています。


古典と現代をつないだ架け橋としての楊栗山

楊栗山は、
古典医学の理論を単に守るだけでなく、
臨床の中で再構築し、次世代へとつなげた医家でした。

彼の学説と処方は、
現代の中医学・漢方医学においても
今なお生き続けています。

温病学の発展における重要な架け橋として、
楊栗山は中国医学史に欠かせない存在といえるでしょう。


西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
自分の症状にどのような漢方薬が合っているか漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 西 智彦(臨床歴20年)

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー 
西 智彦(臨床歴20年)

鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
どうぞお一人で悩まずに、気軽にご相談ください。

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