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漢方偉人伝 兪根初(ゆこんしょ)
「西漢方薬店 漢方チャンネル」に「漢方偉人伝 兪根初(ゆこんしょ)」を公開しました!
理論は現場で使えてこそ意味がある

― 清代医学者・兪根初が示した「実践の医学」 ―
もし病気の理論が難しすぎて、
実際の診療現場で使えないとしたら、
その医学にどれほどの価値があるでしょうか。
中国清代、この問いに真正面から向き合い、
医学の在り方そのものを変えた人物がいました。
それが 兪根初 です。

理論対立の時代に生きた医学者
兪根初は18世紀、浙江省紹興を拠点に活躍した医学者で、
後に「紹派傷寒」と呼ばれる独自の流派を築きました。
当時の医学界では、
- 張仲景の古典に基づく 傷寒論
- 新たに発展してきた 温病学
この二つの理論が対立していました。
多くの医師がどちらか一方に偏る中、
兪根初はこの対立そのものに疑問を持ちます。

傷寒と温病を「融合」させた視点
兪根初の最大の特徴は、
寒の病気と熱の病気を対立させなかったこと です。
寒邪による病も、
温熱や湿熱による病も、
実際の患者の体では連続的に変化します。
彼は、
- 病の経過
- 地域の気候
- 体内の湿と熱の絡み
を重視し、理論を柔軟に使い分けました。
この姿勢こそが、
机上の医学ではなく「現場の医学」だったのです。

『通俗傷寒論』という画期的な医学書
その思想を形にしたのが、
代表作 通俗傷寒論 です。
この書物は、あえて「通俗」という名を冠し、
- 難解な古典理論を
- 誰にでも分かる言葉で
- 臨床にすぐ使える形で
解説した、極めて実用的な医学書でした。

特に、
湿気が多く暑い地域で起こりやすい病態 に着目し、
「湿」と「熱」が複雑に絡む病気を詳細に分析しています。

今も使われる名方「蒿芩清胆湯」
兪根初の処方の中で、
現在も頻繁に使われている代表例が 蒿芩清胆湯 です。
この方剤は、
- 体内にこもった湿
- しつこく残る熱
を同時に取り除くことを目的とした処方です。

現代でも、
- 胆嚢炎
- 夏に長引く風邪
- 湿熱型の不調
などに幅広く応用されています。

理論を「使える技術」に変えた医学
兪根初の医学は、
- 理論の正しさより
- 臨床での効果
- 速やかな改善
を何より重視したものでした。
寒か、熱か。
傷寒か、温病か。
そうした二項対立を超え、
今この患者に何が起きているのか
という一点に集中する姿勢は、
現代の中医学・漢方臨床にもそのまま通じています。
現代に生き続ける兪根初の知恵
難解な理論を、
現場で使える「技術」へと昇華させた兪根初。
その知恵は、
今も中医学・漢方医学の中で息づき、
日々の臨床を支え続けています。

西漢方薬店ではオンラインでの漢方相談をおこなっております。
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漢方の専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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