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漢方偉人伝 陳定泰(ちんていたい)
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たった一枚の解剖図が覆した医学の常識
陳定泰と中西医学融合の原点
もし、あなたが信じてきた人体の常識が、
たった一枚の図版によって根底から覆されたとしたら、どうするでしょうか。
一九世紀、清朝末期の中国で、
まさにその衝撃を受けた医師がいました。
その名は 陳定泰(ちんていたい)。

王旭高、王士雄といった名医たちと並び称されながら、
東洋医学と西洋医学の融合に真正面から挑んだ、
あまり知られていない先駆者です。
西洋の解剖図との衝撃的な出会い
一八七五年、陳定泰は
『医談伝真(いだんでんしん)』という医学書を世に送り出しました。

その執筆のきっかけは、
彼が西洋の軍医から見せられた 精密な解剖図 との出会いでした。
そこには、
- 皮膚
- 筋肉
- 骨
- 骨髄
に至るまで、極めて詳細に描かれた人体構造が示されていました。
長く伝統医学の世界で生きてきた陳定泰にとって、
それは常識を揺さぶるほどの衝撃だったのです。
西洋医学に飲み込まれなかった理由
しかし、陳定泰の真価はここからでした。
彼は解剖図の正確さに感銘を受けながらも、
それを そのまま西洋医学として受け入れることはしませんでした。
彼が重視したのは、
- 臓器の重さ
- 大きさ
- 形
といった物理的データではなく、
臓腑同士がどのように影響し合い、機能しているか
という視点だったのです。

臓腑は「構造」ではなく「関係性」
陳定泰は、
中医学における「臓腑」という概念を、
単なる内臓の集合とは捉えていませんでした。
彼にとって臓腑とは、
- 気
- 血
- 水
- 精
がどのように巡り、
互いに支え合って働くかという
機能的ネットワークでした。
解剖学は身体の形を明らかにする。
中医学は身体の働きを読み解く。
この違いを、彼は冷静に見極めていたのです。

中西医匯通という思想の源流
陳定泰は、西洋の解剖図を引用しながらも、
それを中医学の臓腑理論を補強する材料として用いました。
この姿勢は、
- 東洋医学か
- 西洋医学か
という二者択一ではなく、
両者を比較し、統合する道を示すものでした。
この考え方は後に
中西医匯通(ちゅうせいいわいとう)
と呼ばれる思想の源流となっていきます。

医学史における東西の架け橋
陳定泰は、
西洋医学に迎合することも、
伝統医学に固執することもありませんでした。
- 正確な構造は西洋から学ぶ
- 生命の働きは東洋で捉える
その両立こそが、
本当に人を診る医学だと考えていたのです。
医学史において、
彼は派手な革命家ではありません。
しかし、東西をつなぐ静かな架け橋として、
現代医療にも通じる重要な視点を残しました。

今、私たちが学べること
分断ではなく統合。
否定ではなく理解。
陳定泰の姿勢は、
現代の医療や健康観にも深い示唆を与えてくれます。
異なる理論を並べ、
どちらが正しいかを争うのではなく、
「どう使い分けるか」「どう組み合わせるか」。
それこそが、
人を本当に支える医学の姿なのかもしれません。

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この記事を書いた人

西漢方薬店 漢方処方アドバイザー
西 智彦(臨床歴20年)
鍼灸師、マッサージ師の国家資格と医薬品登録販売者の資格を持ち、学術発表症例発表実績として第24回経絡治療学会学術大会東京大会『肝虚寒証の症例腰痛症』等、また伝統漢方研究会会員論文集の学術論文からメディア取材まで幅広い実績もあります。
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